数あるローン契約の中でも一番高額なローンになると思われるのがこの住宅ローンです。
「一生に一度の買い物」とも呼ばれるマイホームの購入の為に利用するこの住宅ローンは、その金額が高額なだけでなくその他のローン契約とは違った面もいくつか存在します。
ここではその住宅ローンについて、色々な面から説明していきたいと思います。

住宅ローンの適正な金額とは?

住宅ローンを組む際の適正なローン金額は、年収の5倍までと言われています。
例えば年収が400万円の人の場合、2000万円までということになります。原則的にこれ以上の金額となると、審査を通るのが難しくなります。
ですが、最近では日本銀行のマイナス金利の実施に伴って、住宅ローンの金利が軒並み1~2%程度となったこともあり、条件次第では年収の6倍や7倍の審査にも通ることも多くなってきました。
住宅ローンでは借り入れが長期に及ぶ為、金利が合計した返済金額にかなり大きな影響を与えます。その金利が下がったことで、今までは年収の5倍程度までが返済を行える1つのラインだと考えられていましたが、6倍や7倍でも返済できる場合が出てきたということです。
この住宅ローンの審査は、一般的なローン契約で審査されるような内容に加えて、契約時の年齢や職場の将来的な展望を含めた安定性、更に将来的な年収の増加などの、この先についての様々な要素も考慮した上で行われます。
審査にはおおよそ2週間から1ヶ月程度掛かることが多く、カードローンなどのキャッシングや、クレジットカードを利用したローンなどとは規模の違うローン契約になります。

マイマス金利と住宅ローンについて
この日本銀行のマイナス金利について説明しますが、日本銀行とは一般的な銀行の利用する銀行という位置付けにあります。つまり我々が銀行に預金をするとそれに対して利息が付くように、銀行が余ったお金を日本銀行に預けて、それに対して発生した利息を利益としていたのです。
ですが、この日本銀行の金利がマイナスになったことで、銀行が日本銀行にお金を預けると、利息が付くどころか反ってマイナスになるようになりました。
これでは日本銀行にお金を預ける意味がないので、その分のお金を自分たちで管理するようになりましたが、持っておくだけではそのお金は増やせないので、今までより金利を下げてでも一般の人や企業などに貸したいと考えるようになったのです。
このマイマス金利は、上記のように銀行が一般の人や企業に対してもっとお金を貸し出すように実行された政策だ言えます。いわゆる”貸し渋り”を解消し、お金をもっと世の中に循環させる為の、銀行にとっては荒療治だとも表現できます。
住宅ローンの金利が最近になって軒並み下がったのもこのマイナス金利の影響が大きいのは間違いありません。融資金額が高額になるこの住宅ローンは、現在の銀行から見ると今までなら日本銀行に預ける予定だった大きな金額を有効に活用する為の大事な商品になっているのです。

ローンを組める年数

住宅ローンの返済期間は、原則的に1年単位で15年以上、35年以内となります。
同じ金額を借り入れる場合でも、返済年数を長くすると、合計して支払う金額こそ増加しますが、月々の返済金額は少なくなります。このように月々無理なく支払いが行える金額を一番に考えた上で、住宅ローンの提供側である銀行などの金融機関と相談を行い、返済年数を決めることになります。
よって、2000万円だから何年といったような基本の返済年数などは存在しません。各々の場合でケースバイケースになります。
また、親子2代ローンという特殊な契約になると、35年を超えて、最長で50年以内での返済が行える場合があります。その他にも、夫婦共に収入がある場合には、その合算を元にローンを組むような契約もあり、条件によってある程度柔軟なローン契約が組めることも、この住宅ローンの特徴だと言えます。

金利による返済金額の計算方法

金利が年利1%などと聞くと、かなり安く借りられると思ってしまうかも知れませんが、借り入れ期間が長くなる住宅ローンでは実はそうでもありません。
この金利が実際にどれくらいの金額になるのかという計算ですが、これが簡単にできる方法があります。大雑把な計算になるので、実際には多少の誤差が生じますが、大体これくらいの金額になると覚えておくと、住宅ローンを考える際の参考になるのは間違いありません。
まず、借り入れ金額(A)が1000万円で、返済期間(B)が10年、特にボーナス月に返済金額を増やすようなことはしない月々均等払いで、金利(C)を1%とした場合の金利の合計金額は、50万円強となります。要するに、1000万円を借りて、それを10年間掛けて1050万円強にして返済するということです。
この計算が全ての基本となり、これを応用することで、あらゆるケースの金利の金額が計算できます。
例えば、借り入れ金額(A)が2倍の2000万円になると、金利の金額も2倍の100万円強になります。更に返済期間(B)も2倍の20年になると、合わせて4倍の200万円強になります。
このように、(A)が1000万円、(B)が10年、(C)が1%で、50万円強が金利の金額の基本となります。(A)~(C)のどれかが2倍になれば金利の金額も2倍に、3倍になれば3倍になる訳です。
2000万円(基本の2倍)を30年(基本の3倍)掛けて、金利2%(基本の2倍)で借りた場合は、2×3×2=12倍となり、基本の50万円強の12倍となる、600万円強の金利が掛かることになります。
年利2%の金利とはいえ、30年を掛けて支払うとなると、最終的には元金の2000万円に対して30%強となる600万円強もの金利を支払わなくてはいけないということです。
この計算からも分かるように、1%や2%といった数字だけを見て、大した金額にはならないだろうと考えてしまうのは大変危険なのです。

元金均等払いと元利均等払い
尚、住宅ローンの金利のシステムには元金均等払いと元利均等払いがあり、この計算は主に元金均等払いの場合に有効になりますが、元利均等払いの場合はこの計算で出た金額より少し高くなると考えてください。
実例として、元金均等払いで2000万円を年利1%、30年間の月々均等支払いで借りた場合の合計返済金額は上記の計算の通り、約2300万円となります。
これが全く同じ条件で元利均等払いとなると、約2315万円になります。元金均等払いと元利均等払いでは、これくらいの差が出ることになります。
この差は金利が上がるほど大きくなる傾向があり、上記の例で金利が2%とした場合、元金均等払いでは金利の金額も2倍となり、合計返済金額は約2600万円ですが、元利均等払いでは金利の金額はそのまま2倍とはならず、約2660万円になります。よって、元利均等払いで上記の計算を応用する際には、最高で10%程度元金均等払いより金利の金額が高くなると考えてください。
もちろん少しでも支払う金額が少ないに越したことはないので、住宅ローンを検討する際には、そのローン契約が元金均等払いと元利均等払いのどちらになるのかをきちんと確認した方がいいでしょう。

固定金利制と変動金利制があります

住宅ローンでは、固定金利制か変動金利制かのどちらかを選択することができます。
上記の金利の計算は固定金利制でのもので、変動金利制の場合、原則的に半年ごとに金利が見直されることになります。よって、最初に合計の支払い金額を算出することはできません。
この変動金利制における半年ごとの金利の見直しですが、これは公定歩合などを参考に、上がることもあれば、もちろん下がることもあります。そして、見直しこそ半年ごとにありますが、実際に月々の支払い金額への反映は5年単位になっています。要するに、一度決まった返済金額は、5年間は変わることはないということです。
これは、金利の見直しと一緒に半年ごとにコロコロと返済金額が変わっては、支払う方の返済計画に影響が大きい為です。それを防ぐ為に支払い金額への反映は5年ごとになっているのです。
その為、現在の金利に決定してから5年間は、この半年ごとの金利の変動があっても支払い金額が据え置かれ、その間に何度か金利が上がったり下がったりを繰り返した結果、5年を経過した後にその間の平均金利を算出し、次の5年間の支払い金額が決定する仕組みです。

どちらが得とは言えません
このように、固定金利制か変動金利制のどちらが得になるのかは何とも言えませんが、1つだけ言えるのは、変動金利制にはある程度のリスクがあるということです。
住宅ローンの返済期間は、原則的に延長できません。よって、金利が上がってしまった場合は支払い年数がその分延びるのではなく、月々の支払い金額が増えることになります。
後述しますが、住宅ローンの返済を遅延してしまうと、大変なペナルティを受けてしまうことがあります。変動金利制では、もちろん支払い金額が減る可能性もありますが、増えてしまった時のことを考えると、固定金利制を選択した方が無難なのは間違いありません。

支払い期間を延長したい場合

一度組まれた住宅ローンの支払い期間を延長するのは難しいので、どうしても支払い期間を延ばしたい場合には、住宅ローンの借り換えという手段が現実的になります。
具体的には、支払いが残っている住宅ローンと同額、もしくは多少多目の金額の融資を他から受けて現在のローンを一気に完済してしまい、受けた融資を今までより長い年数での返済にするということです。
これが可能かどうかは様々な条件次第ですが、そのような住宅ローンの借り換えについての相談を受け付けている金融機関も多いので、どうしても支払い期間を延長したい場合には相談してみることをおすすめします。

前倒しでの返済を行いたい場合

キャッシングなどの返済と同様に、住宅ローンでも前倒しでの返済が行えます。余裕がある時に多目に返済しておくと、返済期間が短くなったり、月々の支払い金額が僅かながら下がることが期待できます。
ですが、最低でも15年を超える長期的なローン契約です。多少の金額を返済したところで、今後の返済計画がそう大きく変わることはありません。また、多目に支払ってしまったお金の為に今後の支払いが厳しくなってしまっては元も子もありません。
一気に100万円単位の返済を行える場合は別ですが、それ以下の場合は無理に前倒しでの返済は行う必要はないかも知れません。

住宅ローンを組む際の条件とは?

住宅ローンを組むにはいくつかの条件があります。これらを満たさない場合、原則的にローン契約を結ぶことはできません。
まず、住宅ローンを組むと同時にその対象となる住宅は、ローンの提供元である金融機関に担保として抵当権を打たれることになります。これは簡単に表現すると、もし返せなかった場合はその住宅を取り上げられてしまうことになるということです。
また、基本的に団信保険というものに加入することが条件になります。
これは、もし返済途中で住宅ローンの契約者が死亡したり、高度な障害を負ってしまった為に返済を続けることが困難になった場合に下りる保険のことです。
この保険料は、ローン金額1000万円当たり、年間36000円になります。健康上の理由などからこの保険に入れない場合には、利用する金融機関によって、この保険の代わりに多少金利が高くなる契約を用意している場合があります。その場合は0.1~0.3%程度金利が上がることが多いようです。

返済を遅延してしまうと…
これは住宅ローンにおいて一番大切になる部分ですが、原則的に3ヶ月以上の延滞があると、ローン契約自体を破棄されてしまい、残りの返済金額の一括返済を要求されることがあります。
これは利用する金融機関によっても異なりますが、延滞した期間に関わらず、2度目の遅延があった時点でそのような打診をされることもあるので、住宅ローンの月々の支払いだけは何をおいてもきちんと行わないといけません。

住宅ローンは熟慮を重ねてから契約しましょう

住宅ローンはこのように長期的な高額の借り入れになる為、契約前の審査が厳しく行われるのはもちろん、担保や保険も必要になり、更に返済に対しても厳しいローン契約となります。
20年や30年先のことなど誰も分かりませんが、無理をして組んでしまうと、もし支払いが滞った時に上記のように大変なことになってしまいます。
まだ1000万円を超える返済が残っているような時点で、その支払いが滞った為に一括返済を求められてしまうと、多くの場合は担保となっている住宅自体を売却しなくては支払えないと思います。そして、売却してもその残りの支払い金額に満たなかった場合には、住宅が無くなってしまった上に、更にその分の借金を背負うことになってしまいます。
そのようなことにならない為にも、住宅ローンを考える際には熟慮を重ねるに越したことはありません。本当にこの先きちんと最低でも15年以上も支払っていけるのかを考えて、審査を通る金額より多少低い金額の契約にするなど、考えに考えた上で契約を行ってください。