借金で苦しんでいる方々にとって、法律の専門家である弁護士や司法書士を利用してのいわゆる債務整理は、生活を一変させることができる画期的な手法です。

しかし、債務整理について正確に理解しようとすると、法律上の知識が相当に要求されることから、多くの方々が誤解をされているのが現状です。

しかも、インターネットやマスメディアにおける債務整理に関する情報は、玉石混交の状態であることが現実で、正確な理解をすることはなかなか難しいです。債務整理に関して多く見られる誤解は一体どのような点でしょうか。

債務整理について概念の正確な理解

債務整理という言葉は、法律上の概念ではありませんので、あらゆる概念が使われています。そこで、まずは債務整理を語る上で登場する概念についての正確な理解をしておく必要があります。

債務整理とは、借金(債務)を多く抱えている人が、弁護士や司法書士などの法律の専門家を通じて、借金を整理することを言います。債務整理というのはあくまで目的であり、その目的を達成するための手段として、いくつかの方法が考えられます。

現在の日本における債務整理の方法としては、大きく3つが考えられます。まず、任意整理です。任意整理とは、裁判所を介さずに、債権者たちと借金についての交渉を行って、減額をしてもらったり、長期の分割払いをお願いしたりして、任意に返済をしていくというものです。

次に、個人再生です。

個人再生とは裁判所を介して借金の総額の約5分の1を、3年から5年をかけて返済していくことによって残りの5分の4の借金を裁判所から免除してもらえるという制度です。

最後に自己破産です。

自己破産も個人再生と同じく、裁判所を通じて手続を行うことによって原則としてすべての借金を免除してもらえるという制度です。

このように、債務整理、任意整理、個人再生、自己破産というそれぞれの概念を性格に理解することによって、借金問題についての制度に関する理解をするための土台を作ることができるでしょう。

任意整理を行っていることが会社にバレる?

借金問題を抱えており、任意整理をしなくてはいけないような方々にとって一つの懸念事項は、周囲、特に勤務先である会社にその事実がバレるかどうか、という点でしょう。

任意整理の事実が会社にバレてしまうと、会社における自らの評価に影響があるかもしれないからです。借金問題を抱えるということは、自己管理能力に疑いをかけられかねませんので、会社にバレることはなるべく避けたいでしょう。任意整理を行っていることが会社にバレることはあるのでしょうか。

結論から言えば、弁護士や司法書士などの法律の専門家に任意整理を依頼した場合であれば、原則として会社にバレることはありません。というのも、弁護士や司法書士などの法律専門家は、極めて厳密な守秘義務というのを法律上負担していますので、相談内容を外部に漏らすことはありません。

また、弁護士や司法書士と債権者たちとの交渉が始まった後は、債権者たちが本人や勤務先に連絡することは厳格に禁止されていますので、任意整理をしている事実は内密に進められます。したがって、会社にバレることを恐れることなく、しっかりと弁護士や司法書士と打ち合わせをして、任意整理の手続を進めていくことができます。

任意整理の具体的な手続

任意整理を行うためには、まず、弁護士や司法書士などの法律専門家に相談をすることからスタートします。たとえば、弁護士に依頼をして任意整理を行う場合、具体的にはどのような手続になるのでしょうか。

まず、弁護士に相談をして、現在の借金の状況を正確に伝えます。ここで大切なことは、弁護士に対してはウソを言うことなく、すべての事実(借り入れの事実、お金の流れの事実)を洗いざらい話すことです。

というのも、弁護士としては、相談者から正確な情報を得ることができて初めて、具体的な債務整理の方法を選択することができるからです。仮に相談者が大口の借金の存在を隠してしまっていた場合には、本来であれば自己破産相当の事案であるにも関わらず、任意整理を選択してしまうという悲劇が起こる可能性があります。

借金についてウソをついたとしても、手続をすすめる中で最終的にはすべて明らかになるのが常ですから、その際には任意整理から自己破産への方針変更を行う必要があり、そうなると二度手間になってしまいます。したがって、弁護士に相談をする場合には、すべての事実を正確に伝える必要があります。

その後、弁護士から各債権者宛に受任通知という書面が発送されます。受任通知というのは、簡単に言えば「本件については私が受任しましたので、債務者との過去のすべての取引について資料を提出して下さい。

また、以後は債務者に直接連絡することはせずに私を窓口にして下さい」という内容の書面です。

受任通知を受け取った債権者は、債務者に対して直接連絡をすることや取り立てを行うことが禁止されますので、債務者にとっては平穏な毎日が戻ってきます。

以後は、弁護士と債権者が個別に交渉をすることによって、どれくらいの金額なら返済することができるか、また、どれくらいの期間の分割払いであれば返済することができるかなどの交渉を行っていきます。

任意整理にかかる期間ですが、弁護士の能力や債権者の内部事情によっても大きく変わりますが、早くて1か月、遅くとも3か月程度あれば、大きな方向性は見えてくることがほとんどです。後は、債権者が任意整理案を受け入れるかどうかという点が最大のポイントでしょう。

任意整理と自己破産との違い

怖い顔

任意整理と自己破産の一番の違いは、裁判所というプレイヤーが登場するかどうかです。

任意整理の場合は、あくまで裁判所を介することなく、債務者及び債務者を代理する弁護士や司法書士などの法律専門家と、それぞれの債権者との裁判外での交渉によって、債務に関する問題をどのように処理するかが検討されます。

債権者からすれば、任意整理の交渉のテーブルについたとしても、債務者から提供される任意整理の案に納得することができなければ、誰からも強制されることなく、任意整理に応じることを拒否することができます。ただし、任意整理に応じることを拒否すると、ほとんどの場合、債務者は自己破産という選択肢を取ることになります。

そうなった場合には、債権者としては、仮に任意整理に応じていれば債権の一部でも回収することができたにも関わらず、自己破産の場合はまったく回収することができなくなってしまいます。したがって、債権者としては、将来的に自己破産という選択肢を取られることが明らかな場合については、少しでも債権を回収するために、任意整理に応じるという判断をすることになります。

債務者としては、このような債権者の事情をあらかじめ理解することによって、交渉を有利にすすめることができます。債務者の最大の交渉カードは、「この任意整理案に応じていただかなければ、自己破産をせざるを得ません」というものです。このカードを使うことによって、債権者としては、「そうなったら一円も回収することができないから、任意整理案に応じます」という流れになります。

このあたりの交渉については、債務者本人で行うことはほぼ不可能ですので、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼をして、しっかりと交渉をしてもらうことが重要です。交渉次第では、返済をする必要のある金額も大きく変わりますし、また、分割払いの年数も大きく変わりますので、なるべく評判の良い弁護士や司法書士に依頼をすることが重要でしょう。